令和元年照明普及賞 京宝亭

香川県 小豆郡 / 京宝亭
照明設計 / 宮地電機

施設の概要(施設の用途、規模、特徴)

京宝亭は、小豆島の「醤の里」と呼ばれる佃煮屋や醤油蔵が立ち並ぶ地域にあり、 明治時代に建造された登録有形文化財の醤油蔵と築約40年の木造建物を再生した施設である。江戸時代から伝わる良質な醤油を使った佃煮のアンテナショップとして再生され、こだわりのある商品開発、モノ、コトの背景にあるヒストリーに共感し、本質を感じ取ることができる。 また、再生された宝ミュージアムには、新たに開発した「加水しなくても食べられる宇宙食」を展示しており、JAXAに採用され、宇宙で食される予定である。

照明設備(光源、器具、照度、照明の特徴)

京宝亭の照明設備は、骨董品として収蔵されていた明治時代のオイルランプをLEDランプ仕様に改造し、木組みのルーバーから吊下げて空間デザインを構成している。アンテナショップとして重要な陳列台には、幅わずか12mmのアクリルカバー付きのライン照明を家具天井板に組込み、商品の背景の鉛直面照度を確保するとともに、スポットライトで商品を照らしピックアップしている。宝ミュージアムの照明設備は、室内の和紙張りの壁面上下に幅わずか12mmのLED間接照明を仕込み、壁面を明るくすることで、空間の奥行き感を出している。歴史を感じさせる丸太の梁組を見せた商品展示スペースには、梁にスポットライトを取付け、メタリックな天板の展示台に置かれた商品を照らし出している。 夕暮れになると、京宝亭と宝ミュージアムの間に設置されたベンチ下のあかりが灯り、漆喰と瓦葺きの建物やのれん、木製サインをスポットライトの光で浮かび上がらせ、歴史や伝統、文化の温もりを感じさせる。